栄養学、運動学のスペシャリストが教える!免疫力を維持する方法

コロナとともに生きる時代、個人ができることは手洗いうがい、マスク着用などウイルスからの物理的な感染予防、そして、体の免疫力を整えておくことが重要です。免疫力を維持する方法を大学教授、栄養学博士に伺いました。

この時期は免疫力を上げることばかりに目がいきがちですが、免疫を下げずに維持することも重要です。

「免疫力の低下の原因は、ストレス、疲労、睡眠不足などさまざまありますが、重要なのは食事と栄養です。まず、適正な体重を維持することが重要です。肥満だけでなくやせも問題で、血清アルブミン値(身体の栄養状態を示す指標)が低下すると、インフルエンザのワクチン接種後の抗体陽性率が著しく低下することがわかっています」

「免疫力を維持するためには、エネルギーとなるタンパク質、脂質、炭水化物のバランスが重要です。ダイエットのために炭水化物を抜くのは、タンパク質や脂質が過多になるためオススメしません。また、ビタミン、ミネラル、食物繊維を豊富に含む食材を摂ることも大切です」

「免疫力の維持、増進には栄養バランスのとれた食事とともに、抗酸化力の高い食材を意識して摂りましょう。活性酸素やフリーラジカルは、老化、がん、生活習慣病に関係しており、適当な量を保つことで免疫力も保たれることがわかっています。つまり、抗酸化力が高い食品をとることが、免疫力の維持、増進につながります。」(大学教授、栄養学博士)

そこで先生がおすすめするのはキウイフルーツ!キウイフルーツが抗酸化力を改善した実験についてご紹介します。

巣ごもりで弱った身体に熱中症。「食べる点滴」と呼ばれる塩キウイで熱中症を遠ざけよう

長い巣ごもり生活があけ、まだまだ残暑が厳しい秋口に。今年は猛暑日数が観測史上最多となるなど、とにかく暑かった記憶があると思います。また、新型コロナウイルスで着用が一般化したマスクも、熱中症になりやすくなる要因と見られています。秋に入ったとはいえ、まだまだ過酷な残暑が続く今、管理栄養士の方に、熱中症予防対策を伺いました。

「熱中症予防対策として水分補給は欠かせませんが、水ばかり飲んでいると汗で失われたミネラルがさらに薄まってしまいます。通常、1回の食事で500~700ml程度の水分がとれますので、水をたくさん飲むよりも食事から水分を摂ることが理想的。スポーツや屋外での作業では、果物や経口補水液などをプラスして補給していきましょう」

東京消防庁の調べによると、熱中症による救急搬送が多い時間帯は午前11時から午後3時の間。1時間に時間帯別の救急搬送状況(平成29年6月~9月)はなんと300人を超えています。

「日中だけでなく、夜中の熱中症も気を付けましょう。夕食でしっかりとミネラルと水分が摂れる食材を摂っておくべきです。

食事から水分を補給するのに最も適した食材は、果物。水分が多く、生で食べられるの

でビタミンやミネラルの損失が少なくてすみます。また、スムージーやサラダなど応用範囲も広く使いやすいという利点も。

その中でもキウイは栄養が豊富で、ミネラルはカリウム、マグネシウム、カルシウムと熱中症予防に必要なミネラルがバランスよく含まれています。ただ、ナトリウムはごく微量なため、塩を少々ふってください。『塩キウイ』は『食べる点滴』と呼ばれるほど、点滴に近い成分になると言われています」

身近なスーパーなどで手に入り、家族全員でおいしく食べられるキウイ。子どもから高齢者まで、毎日の食生活に取り入れることで手軽に熱中症対策ができます。

「夏はキウイを凍らせておくと、スム―ジーやシャーベットとして気軽においしく利用できます。凍らせると、皮が手でつるりと向けるので、包丁を使わずにすぐに食べられるのです。また、凍らせることで水分が多くなり酸味がマイルドになるので食べやすくなります。ツルッっと皮をむいたキウイをコップのような容器に入れ、溶かしながら塩をかけてスプーンで食べる、というお手軽な食べ方もあります。巣ごもりで弱った体を熱中症から守るため に、ぜひフローズンキウイを役立ててください」

お肉を美味しく冷凍保存!withコロナ生活で役立つ、冷凍ストック術のコツとは?

新型コロナウイルスの感染拡大が各地で続く中、買い物の回数は必要最低限に抑えたいもの。しかしそこで困るのが、痛みやすい肉類の保存方法。美味しく保存するために、冷凍ストックを活用してみてはいかがでしょうか。「冷凍焼け」を防ぐポイントも含め、お肉に精通している管理栄養士の方に冷凍ストックのコツを伺いました。

「お肉を冷凍する際、トレーのまま冷凍庫に入れてしまうといざ使いたいときに使いづらいうえに、上手に冷凍、解凍をしないと、霜がついて“冷凍焼け”してしまい、お肉の味が落ちてしまいます」

冷凍庫内は通常マイナス18度以下の乾燥した状態にあるため、食材に含まれる水分は徐々に気化し、空気中に抜けてしまいます。気化した水分は温度変化により、ふたたび凍結して霜になり、“冷凍焼け”といわれる状態になります。食感がパサパサして味が落ちる、色が悪くなる、においが出るなど、せっかくのおいしさが失われてしまうのです。

「“冷凍焼け”を防ぐためのコツが、お肉を焼き肉のたれに漬け込んでから冷凍する“漬けワザ” 冷凍ストック術。焼肉のたれに漬け込むことで、たれがお肉をコーティングし、水分の気化を防いでくれるので、冷凍時の乾燥や冷凍焼けによる味や食感の変化を抑えることができます。あとは使いたい時に解凍するだけなので、家事の効率も上がり、食材をムダにすることも減ります」

解凍のコツは、急激に温度を上げず、凍った状態から徐々に温度を上げる「ゆっくり解凍」。急激に温度を上げると凍結していた水分がうまみ成分と一緒に流れてしまい、おいしさが損なわれてしまいます。

「巣ごもり冷凍ストック術」の3つのポイント

  1. 下味冷凍で冷凍焼け防止
  2. 冷凍は『急速冷凍』、解凍は『ゆっくり解凍』
  3. ひき肉は冷凍焼けしやすいので味付け調理してから冷凍

以上のポイントを抑えて賢く、“巣ごもり冷凍ストック”しましょう

マスク熱中症に打ち勝つために「筋肉貯金」を!今日から始めたい「タンパク質1食20グラムチャレンジ」

新型コロナウイルス流行の拡大から初めての夏を迎えようとしています。気温が高くなる夏場にもマスクをしなければならず、“マスク熱中症”が心配されています。熱中症対策には水分補給や体を冷やすことがもちろん、夏バテ・熱中症に強いカラダづくりを行うことも大切です。そこで夏バテ・熱中症に強いカラダづくりをするため、毎日の食事で手軽にたんぱく質がとれる「たんぱく質1食20グラムチャレンジ」メニューを管理栄養士の資格を持つ専門家に伺いました。

「熱中症を予防するには、こまめに水分をとることが大切ですが、ただ水分をとるだけでは、カラダの中にためておくことができません。体内の水分は筋肉に一番多く含まれており、筋肉は水分をため筋肉は水分をためる“タンク”のような役割があります。筋肉量が多いほど、多くの水分を体内に保持することができるので、脱水状態になりにくくなるのです。日頃から筋肉をつくる材料となるたんぱく質をしっかりととり、適度な運動をして筋肉量を保つことが熱中症の予防に有効です」

人間のカラダを構成するたんぱく質は常に分解され、食事から摂取したたんぱく質と合わせて、再合成されています。筋肉量を減らさないためには、筋肉をつくる元になる良質なたんぱく質を朝・昼・晩と毎食20グラム前後、食事で摂取することが理想的と言われています。

「牛肉、豚肉、鶏肉などの肉類や卵、牛乳などの乳製品には、必須アミノ酸をバランくよく含む良質なたんぱく質がふくまれています。お肉の種類や部位によって含まれるたんぱく質の量は異なりますが、特に赤身の多い牛ヒレ肉や豚ヒレ肉、鶏むね肉、鶏ささみは良質なたんぱく質を多く含み、低脂肪、低カロリーで栄養成分も豊富です。

しかし、暑い季節は食事を作ることも、食べることも億劫になり、栄養バランスも崩れがち。この夏おすすめするレシピは、暑い時期でも簡単な調理でたんぱく質をとれる主菜・副菜メニューです。

お肉をあらかじめ『焼肉のたれ』に漬けておくことで、バサつきがちな鶏肉や、硬くなりがちな豚肉でもしっかりとやわらかく、ジューシーに仕上がります。フライパンひとつ、または電子レンジで簡単に作れるメニューなら、暑い夏でも手軽に、毎日の食事にたんぱく質を取り入れることができます」

痩せにくいコロナ太りに効果的!日々の食事に「Withレモン」

新型コロナウイルスによる自粛期間中、「太った」、「お腹回りに脂肪がついた」、「体重が増えた」という声がSNSなどに上がり、「コロナ太り」が話題になりました。自粛期間を過ぎて1か月以上たっても、コロナ太りが解消されないという声が多く、見た目だけでなく健康上の深刻な問題となっています。

実は、コロナ太りはいつもの体重増加ことは少し異なり、痩せにくいようです。コロナ太りの原因と解消方法を、ダイエット外来の医師にお伺いしました。

食後の血糖値の上昇を抑える方法で、最新の研究で明らかになったことがあります。それは、レモン果汁を米飯より前にとると食後の血糖値の上昇を抑えることができるというものです。この研究では、健常な20~30歳男女12名を対象に、米飯だけを摂取したとき、レモン果汁15gを米飯よりも先に摂取したとき、レモン果汁30gを米飯よりも先に摂取したときの血糖値推移を検証しました。その結果、米飯を摂取する前に、レモン果汁を摂ることで食後の血糖値の上昇を抑えられることがわかりました。

さらに、レモン果汁には痩せ体質になるホルモンを活性化させる働きがあるそうです。

「脂肪細胞から分泌されるアディポネクチンというホルモンがあります。これは “痩せホルモン”といわれ、このホルモンの分泌量が多いと運動したのと同様の脂肪燃焼効果が得られ、太りにくい体になることがわかっています

「コロナ太りには3つの原因があります。その1つは自粛生活による運動不足、2つめは食生活の変化や脳内ホルモンの減少による食事の偏り、3つめはコロナ禍のストレスです。私の担当した患者さんでは、ストレス太りが多いように感じました。まず、不安な気持ちになるとセロトニン不足で糖質が食べたくなります。また、飲み会や趣味など楽しみの時間が少なくなり、喜びを感じたときに分泌されるドーパミンが減ると油ものが食べたくなります。ストレスを感じるとはコルチゾールというホルモンを分泌しますが、これは筋肉を脂肪に変えるという、肥満につながる働きをします。コロナ太りは、ホルモンの変化やストレスが絡んでいるため、なかなか解消するのが難しくなっています

「コロナ禍は免疫力を落とさないように、食べないで痩せるのではなく、“食行動を正すこと”が肥満の解消につながります。」(ダイエット外来医師)

毎日の生活で簡単に取り入れられる、レモン果汁を使ったダイエットサポートレシピもご紹介します。

コロナ禍の疲れは「はちみつレモン」で乗り切ろう!栄養士もおすすめする理由

一斉に在宅勤務になったかと思えば、緊急事態宣言明けでまたいつもの生活に戻ったりと、何かと疲れが溜まりやすい昨今の働き方。慣れない在宅ワークでの身体的な疲労だけでなく、感染防止に気を遣いすぎて精神的にも疲労を感じやすくなっているのではないでしょうか。

コロナ禍の夏を乗り切るためにも、昔から疲労回復の定番として親しまれてきた「はちみつレモン」を見直してみませんか?輪切りのレモンをはちみつに漬けた「はちみつレモン」は、部活や運動の後の定番アイテムですが、栄養学の観点からもしっかりと疲労回復効果が期待できるそうです。そこで今回は幅広い「はちみつレモン」の活用方法について、管理栄養士の先生にお話を伺いました。

「レモンにはクエン酸という、すっぱさの主成分である有機酸が豊富に含まれています。クエン酸には、ビタミンやミネラルの吸収を助けるキレート作用があり、この作用によって代謝が上がり、結果的に疲労の回復をサポートしてくれます。レモンのクエン酸含有量は、果物の中ではトップクラスで他の果物と比べると、みかんの約6倍、りんごの300倍も多く含まれています。

はちみつにレモンをつけることで、すっぱさが緩和され食べやすくなるだけでなく、一緒に食べると、レモンのクエン酸がはちみつのビタミンB群の吸収効率を高めてくれるのです」

真夏は紫外線や暑さによるストレスから、酸化ストレスを受けやすい時期。酸化ストレスから体を守るのはポリフェノールなど抗酸化作用のある成分です。

「レモンには、非常に抗酸化力の高いエリオシトリンが含まれています。果皮に多く含まれることから、皮ごと食べられるはちみつレモンはポリフェノールをふんだんに摂ることができます。さらに、レモンの香りは軽作業の負担感や疲労感を軽減するなど、香りによる効果も様々報告されています。

はちみつレモンはおいしいだけでなく、疲労ケアにつながることに気づいた若い世代からは支持が集まっています。SNSや料理投稿サイトではちみつレモンを使ったレシピが続々と紹介されているのです」(管理栄養士)

栄養の観点からも疲労回復が期待できる「はちみつレモン」。コロナ禍の夏、疲労ケアアイテムとしてさらに注目されそうです。

「準備なきリモート」を乗り越える!在宅で健康的に働くにはどうすればいいのか?!

新型コロナウイルスの感染拡大から政府は緊急事態宣言を発令し、不要不急の外出自粛を求めています。自宅でのリモートワーク(在宅勤務)が推奨される一方で、オフィス勤務からの急な労働環境の変化に戸惑っている方も多いのではないでしょうか?今回は自社でリモート−ワークを導入している、栄養や食の専門家にリモートワークで気をつけるべきポイントを取材しました。

突然のリモートワークへの変化、「準備なきリモート」に対して、満員電車に揺られなくてラッキーと思った方も、最初はいたかもしれません。しかし、そんな気持ちは最初の数日だけで、自宅に独りでいれば気持ちが少し落ち込んできて当たり前。それは決して鬱ではなくて普通の反応だと思います。

仕事スイッチを入れる「朝礼」のすすめ

そこで一番おすすめしたいのがチームス(Teams)やズーム(Zoom)、スカイプ(Skype)などを使ったチームでの「朝礼」です。業務開始時に部署単位等で全員の顔を見て朝礼を行うことで、自宅にいながらも仕事スイッチがオンになります。さらに、会話が減りがちなリモートワークにおいて、他愛のない会話をする貴重な機会にも。

この状況で、外食やコンビニの弁当を毎食続けるわけにはいきません。また、同じものを食べ続けたり、パスタやうどんなどの単品メニューだとカロリー過多の栄養失調になります。普段より多めにタンパク質を摂ることで無理なく糖質が減らしましょう。その他、喉の乾燥防止ために水をまめに飲むことはとても重要です。ストレスがかかっている状態だと唾液が減ってドライマウスになりがち。常に飲み物をデスクに置きましょう。

▼ 毎日摂ったほうがいい食品

  • 食物繊維  きのこ、海藻(海苔でもよい)と野菜
  • 発酵食品  ヨーグルト、納豆、みそ、キムチ、糠漬け等
  • タンパク質 肉 魚 卵 乳製品 大豆製品いつもより多く毎食
  • 良質の油  アマニ油、えごま油、魚の油など

▼ 推奨サプリメント

  • マルチビタミン&ミネラル系サプリメントを飲む。体型によっても量を調整する
  • コラーゲントリペプチドを1日1本 粘膜と血管を守るために飲む
  • 乳酸菌系サプリメントを飲む。研究者も感染症と関連しているとしています。

同じ姿勢で座りっぱなしでいると健康被害につながります。血行が悪くなることを防ぐため、少なくても1時間に1度は休憩として立ち上がったほうがいいです。ベランダがある人はベランダに出て外の空気を吸ったりしたもよいですね。

また椅子はとても重要です。椅子と机とパソコンの高さが合わないとすぐに腰痛や背中のはり、頭痛になることも。しばらく使う椅子と机なので、自分に合ったものを揃えたいです。

マメな歯磨きは感染症予防にも効果的です。出かけるときに目を触らないためにも、眼鏡やゴーグルの着用をおすすめしています。また、買い物のあとや宅配便を受け取ったら手を洗うこと。キーボードやスマホ、テレビのリモコンもこまめに消毒するクセをつけるべきです。可能であれば、空気清浄機もよいと思います。